January 29, 2009

ビレッジの青春

ヴィレッジの学生たち



年末のグリニッジ・ビレッジ。
スープやサンドイッチ、
スイーツやコーヒーを
出す居心地の良いカフェ
には談義をかもす若い
学生達が集っていた。




中学生のころに親に隠れて深夜番組を見たときのスリルを今も
昨日のことのように覚えている。迷える若者だった私は、10年後の
自分がどこでどうしているべきなのかどうしても実感を掴むことが
できず悩みに悩んでいた。自分の力にあった高校、そして大学へ、
というどっしりしたレールに片足のせかけては、もう一人の自分が
「いや違う、お前はそこではない」と毎晩確信をもって語りかける。
「じゃどーすりゃいいんだ!」といえば「さあ」とそっぽを向く。
毎晩がその繰り返し。私は深夜に放送される名もない映画に答えを
求めた。その中でも忘れられない印象を残したのがこれ。
『グリニッジ・ビレッジの青春』だった。
ストーリーはいっさい覚えていない。しかし、世の中にはこんなに楽しげ
に青春を謳歌する人々がいるんだ、という羨望で胸がつまった。
それに比べて行き場のない自分の寂しさ、もどかしさが身にしみた。
そのとき私はグリニッジ・ビレッジという街がどこにあるのかさえ
知らなかったのだ。放映が終わったのが午前四時。
ほの明るくなりはじめた居間でぽつねんとしていた。
見つかればしかられるのはわかっていたけど、それよりももっと大きな
感情に包まれて、消したテレビの前で呆然と座り込んでいた。

それから20年。グリニッジ・ビレッジにはあのときテレビで見たよりも
もう少し垢抜けてさらりとした学生たちが集っていた。
いつのまに私は彼らを超えていた。
でももし生まれ変われるならば「あんな」学生時代を送ってみたいと
今でも後ろ髪ひかれる想いは否めない。
今ならグリニッジ・ビレッジがどこにあるか知っているから。

さ、今日は恵比寿です。
帰国三週目に入ります。ニューヨークで目撃した彼らのすごさを
一滴ずつ皆にしみこませるべく。





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