January 26, 2009
大逆転
中央が作詞・作曲・主演の
リン=マヌエル・ミランダ。
この2月でニュージカル”IN THE HEIGHTS”を降板し次の
仕事に取り組むことになった。続投する主演者が未定となれば
激しいオーディションとなること必至だろう。
主役を勝ち取ればたちまちトップスターに躍り出ることができる。
しかしこの役はストーリーテラーかつラッパー、またなんといっても
観客の共感を掴む愛されるキャラクターを要求され、なおかつ容
姿がラテン系でなければ説得力がない。
こういう条件を備えた新星が現れるか。それともひそかに決まって
いるのかどうか。
ちなみに本ニュージカルへの投資額1000万ドルはわずか10ヶ
月で回収したそうで、公演は文句なしの続行が決まっている。
人生をどのようなものとして捉えるかで幸不幸は大きく左右される。
その鍵となるのは、一人一枚のジョーカーをどのタイミングで使う
かではないかと感じることが多い。エースではなく、ジョーカー。
というのは、エースというのは強い・きれい・美しいと最初からわか
っているからである。それに対してジョーカーは強いのか弱いのか、
敵なのか味方なのかがぎりぎりまでわからない。
早く出しすぎれば叩かれて有力者につぶされ、ずるずる出し惜しみ
していたら最後はババとなって腐ってしまうのだ。
リンの場合、マンハッタン島最北部のインウッド育ちである。
一般的にニューヨーカーとして非常に不利な地の利といわれる。
しかし彼はそれを逆手にとってスターの座を勝ち取った。
貧しいラテン系の人々の愛と涙を古典的なアメリカンドリームの
ストーリーにのせることによって万人の共感を得ることに成功した。
彼はジョーカーを、「2」でも「ババ」でもなく「エース」として正々堂々
ブロードウェイという大舞台に持ち込み見事に勝負を制したのである。
彼自身にとってもまさかの展開であっただろう。
勝負の女神は確かにいるのだ。
あのオバマ大統領も、ほんの数年前には黒人の古い有力者の前に
なすすべくもなく大敗している。
勝ち負けで物事を判断するのは好きではないが、自分のたった
一枚のジョーカーを信じぬくことは絶対に必要だと日々思う。
昨日のレッスンにご参加くださった皆様、ありがとうございました。