October 01, 2014

サルサのスタイルに関して現在思うこと(後編)

数年前、東京のサルサファンが一挙にOn2に傾いて
見渡す限りOn2一色といわれる韓国のような状況に
なるかとも思われた時期がありました。長年On1で技を
磨いてきて素晴らしい境地に達した男性が、そのブー
ムの中で自信を失ったような姿を何度も見ました。
そのような状況にあっても軸のぶれないOn1の男性が
遊び心あるパターンに磨きをかけ、昨今は完全に女
性の支持を取り戻したように感じています。そのことに
ついて、私は心からOn1の男性リーダーたちを尊敬
しています。東京にはOn1でもOn2でもキューバン
スタイルでも実にいい踊り手がいる、という女性にとって
理想的な状況を作ってくれたのは、ここ数年特にOn1
で踏ん張ってきた男性たちがいるからだと思っています。

一方でOn2の男性のノリがこなれていて、リードが確か
で女性にとって踊りがいがあるのも事実です。それを
支えているのは正確な指導とストイックな練習です。
まあまあ、それでもいいんじゃない、というような曖昧さが
あってはあのレベルには到底達するはずもありません。
極端な話ですが、韓国にはリードが未熟な男性は
フロアに出てはならないと指導するインストラクター
すらいると耳にしました。それは女性にとっては安心感
につながるともいえるので一概によいともわるいとも
いえないですが、サルサファンの裾野を広げるという
面で、うーむ、ハードルが高すぎはしないかとも感じます。
加えて未熟な人はフロアに出ないようにという指導を
男性に対して行うことは、結局のところそのような女性
をも歓迎しないムードをうんでしまうのではないかと思
うのです。

いずれにしても、東京はOn1でもOn2でも優れたリー
ダーに出会える稀有なサルサスポットとして成熟して
きたわけです。これは相当すごいことですよ。

さて、異なるスタイルが一つの場で共存することができ
るかといえば、それはもちろんできます。そもそもそのよう
なところ(多種多様な文化が混在しているところ)があっ
たからこそサルサが誕生したのですものね。
ポイントはいくつかあって、まず主催者がそれを喜ぶかど
うかです。スタイルにこだわらず多様なダンサーを歓迎
する姿勢を見せることがまず不可欠だろうと思います。
DJが各スタイルのダンサーがどのような曲を好むかを
熟知してバランスよく選曲していくことも大切でしょう。
キューバンスタイル歓迎といいながらティンバやクラー
ベのよく鳴るソン色の濃いものを一曲もかけなければ、
踊る側が「?」と感じるのもいたし方ありません。最後に
来場者が異なるスタイルを楽しむ気概に満ちているか
どうかです。いい踊りを披露している人がいたら、スタイ
ルにこだわらずギャラリーを作る、あるいは声をかける。
この三点が、スタイル違いのダンサーが入り混じるフロ
アを成立させるポイントなのではないでしょうか。

ところでこのシリーズの前編で「ロマンティカ派はOn1、
ラテンジャズ派はOn2へ」ということを書きましたが、この
ように感じる感性はけして世界共通というものではない
ことも加えておかなくてはいけません。ロサンゼルススタ
イルはOn1ですが、そこでダンサーが好んで踊る曲は
ロマンティカよりむしろこんな曲なんです。





こういうノアールな曲調がロスの人は好きみたいです。
加えてこの曲はポンカンポンカンというカウベルかな、
表拍のリズムがずっと刻まれているので、いかにもOn1
にぴったりなんですね。このように、ロマンティカでは
ない、ちょっとクセになるような暗めの曲、こういうのがい
いとされる風土もあるわけです。さらにずっと書いてきた
ように、ペルー人やメキシコ人はロマンティカがかかると
On3で踊りだす人が圧倒的に多いです。ですから
ロマンティカ=On1と言い切るのは早計にすぎます。

ロマンティカをきいたときにOn1にあうと感じる日本人の
感性は、昭和の歌謡曲を作ったり歌ったりしてきた
日本の芸能界の人たちがラテン音楽に非常に深い
感銘を受けて、そこから材を得て曲作りをしてきた
こと、私たちがそれをシャワーを浴びるように聴いてきて、
かつ学校の音楽教育で四拍子中心の指導を受けて
きたことから醸成されたものだと私は思っています。

同様にOn2=ニューヨーク=ラテンジャズorマンボと
言い切るのもこれまた違います。ニューヨークでは非常
にキューバ色の強いタイプのバンド・・・六弦ギターが
入ってクラーベ担当がいて・・・のような、そういうバンドも
ものすごくうけるし、ダンサーもわれこそはという感じで
踊ります。キューバの伝統的なソンはニューヨークやプ
エルトリコのOn2ではなく、1を踏まないで2・3・4で踏む
踊り方をしますが、上記の場合は1・2・3を踏んで2で
ブレイクするあの、「例の」On2で皆さん踊っています。
このように、この曲はこのスタイルでなくては、というような
因果関係はさほど強いものではなく、ダンサーの感性
にゆだねられている部分が大きいということです。

私がこの一年の間に得た気付きとして、On1のわかり
やすさ・明快さはサルサを普及させる上で実は大きな
アドバンテージなのではないかということがあります。
On1のベーシックステップやCBLには誰がみても直
感で理解できるシンプルさがあります。
一方5・6・7でステップを始めて6でブレイクして1で体
を開くOn2のCBLを初心者に理解してもらおうとした
らどれだけ大変なことか。
いろいろとむずかしい課題の多い現代日本で、この先
サルサファンをより増やしていこうと思えば、とにかく
間口を広げて楽しんで親しんでもらうしかありません。
その際


On1にはトリセツがいらない


そして高めようと思えばどこまでも上には上がいる。
On1の可能性はもっともっと広く深いはずなのです。
一方でもし東京のサルサシーンにOn2がなかったら
どれだけ退屈かという点にも皆さん異存はないと思い
ます。この二つはがっぷり四つで組み合って磨きあって
いくのがいいのです、間違いなく!
そしてこういったアメリカンスタイルのサルサになれていく
とついキューバンスタイルのよさを忘れがちですが、
優れたダンサーを見るにつけキューバンスタイルは
やっぱりサルサの王者だと私はよく感じます。
遊び心、くだけたのんしゃらんとした感じがありながら、
真似しようと思っても絶対追い着けないような高度な
テクニックと味が詰まっている。
フロアに本当に踊りこんだキューバンスタイルダンサー
が入ってきたら、アメリカンスタイルでどんなにがんばっ
ていたって結局みんな持っていかれてしまうでしょう。

こうしてみると、スタイルが混じったフロアというのがどれ
だけ好ましく贅沢かということが改めてイメージしていた
だけると思います。男性はご自分の趣味と感性を信じ
て、女性はそんな男性のリードに応えられるように、楽し
く練習をしていこうではありませんか!




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