August 31, 2012

立ち位置を変えてブレイク

昨日放送された「アメリカン・ダンス・アイドル」こと"So you think you can dance"は実に見ごたえがあって、ご覧になった方は皆さん身悶えされたことと思います。

今回はラテン音楽が多数登場してサルサファンには特に嬉しかったですよね。特にディジー・ガレスビーの「マンテカ」のかっこよさ!ディジー・ガレスビーはジャズとラテンのマリアージュに積極的に取り組んだミュージシャンなんですよ。ジャズにコンガを始めとするラテンのリズムセクションを加えたサウンドは当初「アフロ・キューバン・ジャズ」と呼ばれていました。代表的なのは日本でも爆発的な人気を誇ったマチートです。その後このサウンドはラテン・ジャズと呼ばれるようになりました。マンテカはその筆頭にあげられる一曲なのです。

さて、この番組の醍醐味はそのときどきでダンサーにノリやツキがついてまわるところです。今回踊ったダンサーの中で驚異的だったのは、技術的にすば抜けていたにも関わらず視聴者からの票が集まらず数週間にわたって脱落の危機と隣り合わせにいたビリーがついにブレイクしたことです。ケガはしたけれども医者からは一応出演OKサインが出てさてどうするかというときに、どうしても勝ち残りたい気持ちを抑えて休憩をとり客席側から仲間たちのダンスを見る側にまわったことで、審査員や視聴者が自分に何を求めているかがわかったようです。「やる気がない」とみなされて脱落させられる危機を間一髪ですり抜けて今回の大ブレイク。これには多くの視聴者が目を見張ったのではないかと思います。

 その作品は元友人で今はホームレスと成功者となった二人の再会をテーマにしたものでした。このような繊細なテーマを選んだ振り付け師ステイシー・トゥーキー(まだ30代!)の観察力の深さに会場の人々は感服していました。あのようなお化け番組で振り付けを担当できるということはダンス界においてトップに上りつめたことを意味していますが、それほどの成功者が「人が目を背ける部分に着目した」ことが感動を呼ぶのだと感じたことでした。

ところで、このシリーズでほとんど毎回のようにダンサーから怪我人が出ることに胸が痛みます。一回の番組で違うジャンルのダンスの新作を二つ踊ったうえにオリジナルも創作していかなくてはいけません。怪我人が出ないほうがおかしいというものです。ジャンルや振り付けによる当たり外れをなくして公平に、というのがプロデューサーの意図だろうとは思うのですが、だったら発表を二週に分けてその上で投票を集めればいいのにと思わずにいられません。ダンサーもそれ以外の職業でも人生をトータルで捉えなければいけませんが、若者たちは「今この一瞬で成功しなければ未来はない」と思いつめています。がむしゃらに踊るのは目にみえています。そうでないとあのような番組で勝ち残ることはできませんが、それで腱や関節を痛めてしまうことに対して大人たちに責任はないのでしょうか。視聴率よりも大事なものがあるだろう、と切ない気持ちも抱えながら来週の投票結果を待つ日々です。


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