September 03, 2010

アメリカの風景

ハリケーン・アールのせいでとんでもない気圧配置になって
いる。暑い。どーかしてるよ。
アムトラック、地下鉄、劇場。どこもあまりにも冷房が
ききすぎていて、毛布をかぶっても耐え切れないほどに寒
い。外はハリケーンによる熱波である。ホテルはこの旅
きっての安宿となる。いよいよ過酷な旅になってきた。

ノースカロライナから13時間アムトラックにのってペンステー
ションに着いた。飛行機にしなかったのは中南部から北上
する景色をみたかったからで、それは上空からみるのとは
違ったリアルな体験をさせてくれた。途中倉庫にかいてあった
TOWEL COUNTRYのひとことをみて、なるほどこれが
綿花地帯のことなのね、とか高校時代に地理で一生懸命
覚えたことが現実として目の前にあるのはやっぱり貴重な
瞬間なのだった。

少しさかのぼってロスからノースカロライナに飛んだときの
光景についても記録しておきたいと思う。これも、空からの
景色をみたくて真昼の便をえらんだ。ホテルをでてから乗り物
にのるまでというのは、特に一人旅の場合もっとも疲弊する
時間帯だ。パソコンやダンス用品を持ち合わせると荷物の
量は絞りに絞ってもハンパではない。実際、今回の旅行では
「持ってこなくてもよかった」と思うものが一つもないくらい、
オールスター体勢でそれぞれが役割を果たしている。

たとえば自転車をとめるときに使うチェーン状の鍵を旅の直
前に買ったのだが、これはアムトラックで荷物を車両後方に
とめておく、その13時間のためだけに持ち合わせていたよう
なものなのだけど、しかしそのチェーン一本なければうかうか
昼寝もできないことになってしまうのだ。

話はもどって、そんなわけで座席につくとどっと疲れがでる。
出発前から空からの景色をとても楽しみにしていたのに、油
断してうっかり一瞬寝てしまった。そしてはっと目が覚めたら
一面火星かと見紛う真っ赤な砂漠だったのである。わかりや
すくいうとグランドキャニオンのあの赤である。あまりにでかい
のでここでまず度肝を抜かれた。この砂漠を馬車で東から渡っ
てきたというのはやはりただごとではない。道に迷ったり馬が
死んだりすれば三日のうちに確実に死んでしまうではないか。
生とか死とかについていやでも考えさせられたあとだっただけ
に心打たれる光景だった。


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