April 28, 2010

もの言わぬ人々

サルサの先輩たちからお話をきくのが面白いです。
現在40代半ばくらいの方たちのお話ですね。20代後半から
30代の前半にかけて、仕事もある程度慣れて何か新しいこと
やってみようかな、という時期にサルサダンスにはまって寝て
も覚めてもサルサ漬けの人生を送ってこられた方たちです。

ちょっと前置きです。なぜ今40代半ばくらいの方たちなのか。

日本のサルサ事情に関していえば、順番としてはキューバの
スタイルから、それもダンスよりも音楽の面で先にファン層が
形成されていたことでしょう。

50〜60年代にペレス・ブラードやマチートらが来日してアフロ
キューバンあるいはラテンジャズの人気が高まり、歌謡曲界に
もキューバ音楽の影響が色濃くなりました。
サルサをきいて曲によって妙に懐かしくものがなしい「昭和な
気分」になることがあるのはおそらくこのせいです。
キューバのボレロ(しっとり甘い曲調)をきくと三種の神器や白
物家電な感覚に陥ることがよくあります。

こうして音楽的な素地がすでに形成されていたところへ、ダンス
が音楽をおっかける形で少しずつ日本に広まっていったと思わ
れます。しかし日本人にとって、音楽よりもダンスのほうが敷居
が高かった・あるいは恥ずかしさがあるという理由でダンスの
普及には時間がかかったのかもしれません。
かつてはむしろ、キューバ音楽ファンは踊るよりも演奏する側に
まわる方が多かったんじゃないでしょうか。

その後70年代にラテン音楽全般を融合したサルサが誕生し、
踊り方にプエルトリカン色が強くなった。さらにスウィングとタン
ゴの影響が強くスピーディー・ときにアクロバティックなLAスタ
イルが日本に紹介されたところで、これまでのキューバ・ラテン
音楽ファンとは層の異なるサルサダンスファンがどっと増えた
と予想されます。主として90年代からでしょうか。

こういった方たちが現在クラブあるいはあちこちで開催されて
いるサルサパーティーで高難度の技を駆使する人々の中心と
なっているように思います。

実際は、これまでの経緯・あるいはダンスにかける想いを軽々
しく口にしない方が多いです。
いろいろなご経験をされて、しんどい状況や複雑な人間関係
に悩んだ時期もあったでしょう。趣味とはいえライバル意識も
絡み合っているでしょう。だから今は何も語りたくない、あまり
人付き合いにも煩わされたくない、というスタンスの方が思い
のほか多いような気がします。

そういう方と何かの拍子に飲んだり語ったりする機会があった
りすると、かつての状況や裏話なんかをぼろぼろ聞かせてもら
えてものすごく面白かったりします。

私なんかはサルサを知ってからそれに本格的に関わるまでに
かなり長いブランクがありました。LAスタイルが六本木のクラ
ブを席巻し始めた時代を知ってはいますが、当時の自分はそれ
にどっぷり浸かることはしませんでした。
なんかえらいけったいな世界だな、ちょっと距離をおいとこうと
いう感覚がどこかにあったことは否めません。

というのも何事ももののはじめというのはそういうものなのでしょ
うが、そのときのサルサ・・・今思えばLAサルサの輸入始めの
時期ですね・・・がいろんな意味で度をすぎている、という感じが
あったわけです。自分は何かにつけ光物・濃い者・大きい物を
あまり好まない性質を持っているので、ラテン音楽とダンスが
いかに素晴らしいといえどもこの雰囲気ではない、そう、まさに
「およびでない」という言葉通りの感覚を持っていました。

しかし今思えば、そのときの熱狂的なファン層の時間とお金と
エネルギーの投資があったからこそ、今こうして日本で本場に
匹敵する技術でもって踊っていただける機会もままあるわけ
です。深い感謝の念がわきあがってきます。

そんなわけで、これまで全然お知り合いになる機会がなかった
すごい踊り手さんがた〜っくさんいる。
逆に自分のほうも知っていただいていないですからがんばらないと。

フロアでお手合わせいただくと、その方が送ってこられたサルサ
人生が透けてみえる気がします。お相手の方はこれまでに数百
人かそれ以上と踊ってきていて、海外の経験もあるような方です
から、こちらの練習内容や音楽の解釈なんかも当然深く感知され
ているに違いありません。一曲踊れば練習量やスタイルの経緯
など大体わかってしまうものです。

アマチュアといえども強い感性と練習量を持った方がいます。
そういう方は概して無口なのです。お上手ですね、というレベル
ではなくて、もうハンマーで殴られたようにうまい、参りました、
という方には最初から最後までひとこともおっしゃらないタイプが
います。

たとえば徹頭徹尾こちらの足の動きをチェックして踏んだ瞬間
ミニマムのリードをかけることを一曲続けるとか、手や腕の関節
の構造を熟知していて一箇所のひねりでもってこちらの全身を
支配するような武道的な技術をお持ちの方です。
当然リズムにあわせてそれらを行い、かつポイントではちゃんと
スパイスもきかせて、こちらにスタイリングや遊びをいれる余地も
残しといてくれる、という途方もないレベルです。

十分に時が過ぎて熟成したのか、LAスタイルがキラキラでびゅん
びゅん・・・英語でいうフラッシー・・・だといわれる時代はすでに
終わっています。少なくともそれだけでいいと思っている人はもう
どこにもいないでしょう。誰もが表現上アフロのムーブメントをとり
いれる必要性を感じているし、他のスタイルの技や美学との融合
が試されています。

40代半ばの方たちは青春時代をサルサに捧げ、外見や社会的
立場がもう青くっちゃいられない今にいたってそれぞれの境地で
技を熟成させている。多くは語らないが一度そのフトコロに入り込
むとこの上もなく味のあるエピソードやマル秘の裏話をきかせて
くれます。ピー音だらけでこちらには掲載できないお話の数々。
それが練習の炊きつけになることも多いです。

明日の恵比寿レッスンには普段はこれないけど今回は行きたい
という方が何人かいらっしゃいます。皆さん、重心・足使いなど
サルサの個々の技術に興味をお持ちの方ばかりです。
というわけでシャインは例外的にON1にてやらせていただきたい
と思います。基本の体づかいはON2と変わりありません。
常連の皆さまよろしくお願いいたします。
アイソレーション、ルンバムーブ、重心移動といったいつもの練習
には変更ありません。
常連さんもご新規様も、皆さまどうぞお集まりください。
スタート時間は祝日のため19時です。








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