July 07, 2009

徹底的に

7月に入った瞬間世はバーゲンである。
昔は給食を残すと「アフリカの子供たちに悪い」と意味の
わからない怒られ方をしたものだ。
昨今の買えっぷりにはあのころの担任の真剣味がある。
とにかく何が何でも残しちゃいけないのだった。

というわけで黒のタートルタンクトップを半額の750円で
買った。もはや泥棒(こっちが)に近い。
作った方に申し訳ない。デフレも度がすぎるとありがたい
というより切なくなってしまう。
それより家賃下げてよね家賃を〜〜〜!!!!
いかんせんバランスが間違ってるからじわじわ生きにくい
んだよなあ・・・この国は。わざとなの?わざとだね。

その750円を着た瞬間吹いた。
どうみても黒子。お芝居で馬の足になる人。
デザインはよいしこれまでの自分ならいける感じの服なの
になぜ黒子。それはここ三ヶ月切ってない髪がショートヘア
の領域を超えて頭巾の域に入ってしまったからなのだった。
ヘアバンでどうにかしていた頭はK点越えをとうに果たして
しまっていたのだった。K点のKはKUROKOのKなのね。
身なりがどーでもよくなってくるのは身なり以外どーでもよい
のと同様に気持ちが健康でない証拠らしい。
美容院に電話した。

美容院で何が苦手といってあの「お客様とコミュニケーション
をとりましょう」という誰が決めたか知らない業界ルールが
(ん)もうだいっきらいだ。新人見習いはほぼ絶対「今日は
お休みですか」か「今日はお仕事ですか」のどっちかでせめ
てくる。どーでもえーやん、沈黙は金!と毎回ぶっとばしたく
なる(ごめんね)。
私にとって「良い美容師」と「ワルい美容師」はこの第一声で
ほぼ決まってしまうのだった。
良い美容師はこの質問が喜ばれる場合と喜ばれない場合が
あることを一瞬で見抜く。
かしこい子は淡々としてかつ適切なものなのだ。
おいらは気つかいなので、ワルイ美容師さんにも失礼のない
よう心がける。「今日はどうしていたのか」といういらない質問
をされたので「鍼をうってましたよ」というとぐわあ食いつく。
ああなんですかこうなんですかどうなんですか、と質問がいっ
ぱいで場がもつからこんなありがたいネタはなかったんだろう
けど、こっちはもう一回鍼を打ち直したいくらいの疲弊感に
教われるのだった。
美容師は髪形どうこうの前に人の気を読まなきゃいかんぞな
もし。

おいらはもう何年も担当の方を決めているのだけど、はじめに
髪洗ったりするのがこの手のタイプだともう何も始まる前から
すべてが終わったような気になるのだった。そしてまた、大体
「この世の終わり」感を感じさせてくれた新人は数ヶ月で姿を
消すのである。
まあいい、担当美容師がくればそこはツーカーのパラダイス。
さくさくとことは進み、それでもショートだったはずのおいらの
頭からは驚くほどの髪がばっさばっさ削除された。
黒子脱却のために色見も変える。
そのあとの二度目のシャンプーの担当者が賢かった。
さきほどの鍼の話を聞くともなくきいていたのだろう。
マッサージしながら「表面のほうは柔らかいんですが奥にまず
いのがいますね」と適切なことを淡々と言う。「それで鍼なんで
すね。どういうふうにうつんですか」と。
「あのね、脇腹なら脇腹を徹底的に刺すの」といったら、その
担当者がふっとこらえきれずに笑みをもらしたので「?」と思っ
た瞬間、私にも3秒遅れの笑いが襲ってきた。
今の台詞だけを通りすがりの人がきいたらどう思うだろうな、と
いう想像がその人には耐え切れなくて、その人が耐え切れない
顔が私には耐え切れなかったのだった。
二人は似てはいながらも少しスライドのかかった笑いでしばし
おなかを震わせていたのだった。
ま、彼はとっても人気の美容師さんになると思うよ。

覆いをはずすと黒子は黒子らしく舞台裏に姿を消し、そこには
昨日よりちょっといけてるRIOセンセイが現れた。
馬の足をやる気分にはまだなれないぞなもし。









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