January 04, 2009

本当の孤独

グラマシーの安宿
グラマシーは繁華街から
わずかにそれているとは
いえ一応マンハッタンの
中心部にある。
それでも派手派手しい劇場
や看板はなく落ち着いた
ところ。

私はここに安宿をとった。

白タクから無事アメリカの典型的な安ホテルの階段に重さ
30キロのトランクを運びあげる。これが朝の7時15分。
荷物だけをおいてチェックインは午後だ。

ここからNY渡航者にとってはもっともオーソドックスなJFK空港に
向かうわけだけど・・・私はニューアークから来たからまた1から
出直しだ。

ここに悲劇が待っていた。

ホテルの予約は日本からインターネットですませてあった。
そこには「JFKから私たちのところまで」というたどたどしい内容の
交通案内が載っていた。
私はシンプルにその道案内を逆にたどろうとした。

私のやり方はおかしいだろうか。
すっごく個性的で、変わってるだろうか。

私はすごく普通であたりまえのことをしたと自分では思う。

しかし、「次の駅でのりかえです」の「次の駅」に入る直前に地下鉄
の電光掲示板に突如「This is the last stop」の表示が出たかと思うと、
即座に扉は閉まり、「LAST TRAIN」はうねうねと暗闇の中を移動し
はじめた。

車内には私しかいない。

車両の電気が消え、ごっとん、という音とともに地下鉄はとまった。

私は真っ暗な車庫の中に一人とじこめられたのだった。

日本と違って車両間の移動はできない。
車掌はまわってなんかこない。
誰ともコンタクトできない。

あたりはしんとした。

私は昨晩からの長くツライ時間を思い返していた。
どうしたって私はこうなるのだ。

時間が永遠に思われた。

実質はたぶん5分くらいだったのだろう。
幸い深夜ではなかった。
どのみちこの電車もすぐに次の用事をいいつけられて外界に出て
いくだろう。
そうは思った。
思おうとはした。
でも思ったからといって、気分が明るくなるわけでも前向きになる
わけでもない。

もときた線路をひきかえし、車両は息を吹き返した。

ニューヨーク、朝8時。
暗闇の中、一人。




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