August 30, 2008

イッツ・アメリカン・ドリーム

やあやあマントを返しに行くのに手間取ってしまった。

そもそも「なんかみんなで踊れるバカっぽいダンスないですかね」と

きいたのが運のツキだった。いまや「ポエトリーの父」・P−TODDが

「こんなのいかがでしょうか」といって紹介してくれたのがこれ


どういうわけか私はひと目みてこれが気に入ってしまった。

なんであれ新しいことに取り組むのは楽しいことである。

ところが生来私はびびり、それも「直前びびり」といって、三日前までは

威勢がいいのだが前々日になって一点の曇りが心に生じ、それが

本番に向けて入道雲のようにもくもくとおおきくなるタイプなのだ。

うーむー。私は寝返りをうった。ダンスとは、インストラクターとは、ホスト

とはなんぞや。サルサ=練習、練習=サルサだとシンプルに信じて疑わ

なかった私に神は今度はモスカウを与えたもうたのだ。

台所で腕組みしてぴょんぴょんとんでみると、コサックダンスは予想通り

というか予想以上というか妙に体力を消耗する運動であった。

そんな夜に「貧しい子供がひそかに練習してスターになる映画」など見て

適当に泣いておくと心が静まる。アメリカン・ドリームよ永遠なれ。


さて当日のことだが、会場にはじめに到着した二名にともに夢を見て

いただくことにした。あらかじめこのビデオを見せられて「これ一緒に

やりましょう」といわれて喜ぶ大人はあまりいないだろうと思われたから

である。というかこういうのは「やりたくない人が渋々やる」ところに

なんともいえない味わいがあるのであって、そもそもこういうのが大好き

な人がみっちり練習を積んで出てこられても逆に座はどっちらけるもの

なのだ。何事も塩梅は難しい。

戸惑いの表情を浮かべながら振り付けを覚える二人を横目にその夜

三番目に到着したK君は「よかったちょっと遅れてきて」と心から安堵の

表情を浮かべていた。



本番一回目:練習編。床をならして生徒たちはとびまくる。

なんだ君たち別にラテンじゃなくてもいいんじゃん


われわれはアメリカン・ドリームの定石をつきすすむのだった。


本番二回目:ほんとの本番編。私は皆が到着する前に作っておい・・・

じゃないクレムリンからとりよせたマントをまとって皆をよんだ。

ポエトリー一転、下北沢駅前小劇場である。鏡の方向にゆっくり進み

ばっとふりむいた瞬間、今はいってきたM様と目があってしまった。

M様の雅な笑顔に動揺の色が混じる。到着早々あのイントロではもっと

もなことだ。これまでの経過を説明して仕切りなおしたい気持ちを蹴って

ポーズをとった。夢これ常に前進あるのみ。


余談:『モスカウ』には『のまねこ』みたいな空耳映像もあることを今回

はじめて知った。練習中のわたしが「おっさんですかシャアですかっ」

と汗だくで叫んでいたことは言うまでもない。









salsaconsul at 16:37│Comments(0)TrackBack(0)

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