June 12, 2007

偶然の必然

JOHN&TOMO WALKING

海岸に向かうJ君とTさん。

J君の頭頂部、右ヒップ、

右足の中央に

一本のラインがひける。

 

 

前へ前へ押し出す歩み。

適度にカーブを描いた背骨。

彼の歩き方こそサルサのベーシックステップそのものだ。

 


サンディエゴには結局二泊することになった。

「セレブレイト事件」のあとにいったレストランが

かなり混んでいて30分も行列しなくてはいけなかった。

オンタイムのつもりでかけこんだプラットフォームには

涼しい海風が吹き抜けている。

「今行っちゃったよ」と2人の駅員さんが言う。

"You're kidding." とTさん。

"No." 2人はきっぱり言い切った。

私の「うっそっだっろ・・・」はこのころには自動翻訳で

"I can't believe this・・・"におきかわるようになっていた。


チケットをキャンセルするか、次の列車にするか考えあぐねて

いると、いったん車にもどって事情を説明していたTさんが

戻ってきた。

「Jが言うには、これは偶然の必然だって。

今晩はキューバのミュージシャンのライブにいって、明日の

朝車でロスまで送ってあげるって」

 

こうして予期せずして私はアメリカのキューバンスタイル

ダンスを目撃することになった。

そこには見慣れたあのダンスがあった。

少し前のめりになって、手の平をひらいて(これはLA・NY

スタイルではやらない。この持ち方だと咄嗟のダブルターンは

できない)、少し高めにキープするあの立ち姿。

サンディエゴにキューバ人は多いの?ときいたら、ほとんど

いないという。偶然の必然とはよく言ったもんだなあ。


私は昨晩町外れのレストランで踊った男性と再会して数曲

踊ってみた。私が注目するのはもちろんリズム取り。

久しぶりに1・3・4取りのステップにあった。

クラーべをスリー・ツーでたたいた場合、はじめの一つが

コーンと伸びる。このコーンの分だけ足を地面において

おくと1・3・4のステップになるのだ。

しばらくこれで踏んだあと、彼のリズムはオン2になり、

やがてオン1になった。


ラテン人が曲のカウントを数えられないことがよくあるとは

昔から言われている。

インストラクターにも、はじめはわかりやすいから1・2・3

と数えるが、慣れたら数えない、という人がたくさんいる。

クラーべはメトロノームのように厳格なのに、踊りはそれに

まったくしばられない。

かといって聴いていないというのとも違う。

これがラテン人の耳であり、ラテン人の脳であり、体であり、

人間というものの底知れない奥深さであり面白さなんだろう。


不思議といえば、LAでも、前日訪ねた小さなクラブでも、

ここでも、私の踊りをもっとも評価したのは黒人の男性たち

だった。

私のダンスは白い人たちには通じにくいか、ときとして全く

通じないのだけど、黒い人たちのどこかにひっかかるようなのだ。

これはアメリカに来てみなければわからなかった。


生きるとは持っているわずかな道具を最大限にふるうこと。

私はここから突破口を見出すことになると思う。

 




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