October 14, 2006

Thanks, everyone!!

転機は思いがけないところから訪れる。

授業の合間に、先日の授業を欠席したインド人の男の子に

歴史の第一回・・・先土器時代から弥生時代までを個別に

教えていたときのことだ。

 

国際会議成功の秘訣は、日本人をしゃべらせることと

インド人をだまらせることだ、というが

 

ヤツも、ちょっとした村なら簡単に過疎にできるくらいの

パワフルな声量と強いアクを持っている。

正直担任になりたくないタイプだ。

英語とベンガル語を日本語に変えたからといって根本的

国民気質は変わらないのだろう。

ヤツは3ヶ国語の能力でもって、人の3倍しゃべる幸運と

周囲の控えめな日本人をドン引きさせる不運を得た。

 


その彼に「打製石器の作り方」を教えていた。

石をキレよい作品にするためには、石とはもとは地中で圧迫を

受けてきた物質であって、その流れにそって割るようにすれば

鋭い歯ができるのだ、ということを説明しようとした。

 

「石って、もともとは砂や土なんだよ。」

「?」

「石はもとは大きな岩でしょ。河の上流から押し流されて、

ぶつかったり削れたりしながら小さな石になる」

「うん。」

「その岩はどこから来たかっていうと、もともとは地面なんだ。」

「?」

「マグマが冷やされたり、砂や土や火山灰がつもったりしたのが

上からぎゅっと押し付けられて石になる。

それがもりあがって、高くなって、河に流される。」

 

そこで彼はしばらく考えて、こう言ったのだ。

 

「押し付けられるって・・・

ナウマン象とか? 」

 

そのあとに続いた数秒の沈黙の時間の自分の顔が

私は久しぶりにものすごく好きだった。

見えないけど、この顔はいいな、と思ってしまった。

こっちを見ているヤツのでっかいでっかい目がいい感じ

だったからだ。

 

大きなナウマン象が、長い毛で覆われた巨体をゆすって

地面をぐりぐり踏み潰している図を、34歳の日本人と

11歳のインド人が完全に共有していた。

 

そう、この1週間、「出会うはずのなかった人間の出会い」の

奇跡について、ずっと考えていた。

それが、この瞬間に無理なくきれいに収束していった。

 

私は出会って1年と2ヶ月がかりで、この嫌われ者のインド人

少年を心底好きになれたのだ。

それは素晴らしい瞬間だった。

 

 ・・・続く




salsaconsul at 00:53│Comments(2)■SALSA FRESCA泣き笑い 

この記事へのコメント

2. Posted by salsaconsulRIO   October 15, 2006 21:51
私はレストランでは子供のいない席に案内してもらうし、電車でも子供のいない車両を選びます。仕事の中にこんな瞬間があるのはごくごくレアケースです。でもこの出来事を呼んでうけてくれるMIYAさんのこと考えて、なんだかもととったような嬉しさに襲われるのです。
1. Posted by MIYA   October 15, 2006 08:59
笑いました!!大いに。
私もたぶん、見えなかったRIO先生の顔、
好きだなぁ。(笑)

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